外壁サイディングボードのクラック補修について
基本情報
- 作業:
- 外壁塗装、クラック(ヒビ割れ)の補修など
- 担当者:
- 若槻義治(1級塗装技能士)
施工内容
<関連する施工種別>
外壁塗装、クラック(ヒビ割れ)の補修など
今回は外壁によく使われているサイディングボードの補修についてお話ししたいと思います。最近はモルタル外壁(砂とセメントと水を混ぜて作った外壁)よりも、乾式工法のサイディングボード(主なものは窯業系と呼ばれ、セメントなどを原料とした板を貼り合わせて外壁を作る工法)を使っているお家が増えてきています。
サイディング外壁のモルタル外壁との主な違いは、ボードとボードを継ぎ合わせて出来ている所です。そのため、よくあるお悩みの1つにサイディングボードの間のコーキングが劣化する、というものがあります。
コーキングが破断している写真
※ボードの間のコーキングが、経年劣化で縮んだり千切れたりするトラブルです。
サイディングボードの外壁には、上の写真のようにボードを組み合わせることをデザインとして生かす場合もありますが、サイディングの間にパテ材を埋めて1枚壁のようにすることも多いです。
これが、サイディングボードを使った1枚壁です。よく見ると、まっすぐにクラック(ヒビ割れ)が入っていることが分かります。このクラックは、サイディングボードの継ぎ目に出来ているものです。本来はこのような継ぎ目は表面に目立たないように塗装されていますが、経年劣化や地震や車の往来で建物に加わる振動など、何らかの要因でクラックが入ってしまったのだと思われます。
こちらも、サイディングボードの継ぎ目に出来たクラックです。このボードの隙間を埋めているパテ材はコーキングと同じような柔らかいゴム質で出来ているので、コーキングの劣化時と同様、カチカチに硬くなって外壁の伸縮に耐えられなくなり、画像のように割れてしまうのです。
サイディングボードの継ぎ目のクラック補修
このように出来たクラックは、元の1枚壁に見えるように再度パテ材で補修を行います。
専門の工具でクラック周りの塗装を、一旦下地のパネルが見えるまで削り取るケレンという作業を行っています(だいたい継ぎ目の周り20cm~30cmまで)。塗膜の上にパテを乗っけてしまうと、不自然な厚みが出て仕上がりが汚くなってしまうからです。
クラック周りの塗装を削ったら、パテを刷り込みます。パネル間のクラックを補修し、平らになるようにしています。使っているのは、弾性のあるウレタン素材のパテ剤です。
パテ補修の後、スタッコを吹き付けてパターン(凹凸の模様)を復旧し、補修は完了です。サイディングボードの継ぎ目のクラックは目立たなくなりました。
今回取り上げた、まっすぐに入ったクラックの他に、サイディングボードに斜めにクラックが走っていることもあるのですが、その場合サイディングボード自体のクラックが考えられます。サイディングボードそのもののクラックには、ビスを打ち込んで下の骨組みに固定する補修などを行うことが出来るのですが、「ボードのクラックがある所=外壁が伸縮や振動で動く力を受けやすい所」なので、パテ材で補修しても再びクラックが出来てしまう可能性もあります。
サイディングボード自体のひどいクラック(割れ)を放っておくと、最悪割れて剥がれたボードが下に落ちてきたりして危ないので、不安に思うクラックがあれば塗装業者などに相談していただくのがいいかと思います。